私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜
「で、お前。あとどこに爆弾を仕掛けたんだ」
霜月の尋問に「11階以上の全ての階に1つずつ仕掛けたわ」と圭は正直に言った。
光之助は錯乱して話にならないらしい。
全ての場所を正確に伝える。
下から順番に各階ずつ。
「本当だな」
「ええ」
「爆破時刻は?」
「あと30分で全部が一緒に爆発するわ」
そう答えると、霜月は携帯に「今すぐ動かせ!」と怒鳴っている。
それを圭は静かに聞いていた。
指先にはめた「K」の文字のイニシャルリング。
これは二人を意味するものだったのに、今となっては子供だましのおもちゃに思えてきた。
「……」
「おい、高木」
指示を終えた高木が彼女に向かって言葉を投げかける。
「……なんで、好きな男のためにこんなことしたんだよ」
「……」
「好きなら止めるだろ。普通」
溜息をつきながら霜月が言う。
「おせっかいよ」
「……分かっちゃいるんだけどさ。お前みたいな女見てると、本当勿体無いなといつも思うわ」
「前にもいたのね。そういう人が」
「フラれたけどな」
「……やり直せるかしら」
「出来るだろ。人生何度だって。そのために警察がいるんだ」
「あなたみたいな人に早く出会いたかったわ」
静かに言うと「みんな最初はそう言うんだよ」とその男は鼻で笑った。