私の家は52F!?〜イケメン達と秘密のシェアハウス〜



「いらっしゃいませ。こちら、FURADAの新商品ピーチソルベティーになります」


眉毛がしっかり描かれた女性がFURADAの新商品を売っている。


有楽町の駅の傍に店舗としてFURADA5号店が出店された。


今日はその開店日。


「こんにちは、大丈夫?」


「あ、店長!」


中村が私服で顔を出す。


彼は今日休暇らしいのだが、元上司として様子を見に来てくれたらしい。


「店長は日下部さんでしょ。ああ、もうすぐ松平になるんだっけ?まさか本当にGEN様と結婚するなんてね」


あずさの胸元には「店長 松平」と書かれた名札が掲げられている。


「やめてくださいよ。またどこからともなく登場してきて惚気るんですから、あの人」


眉を顰めて言うあずさに、中村はクスクス笑った。


「仲がよろしいことでよかった。ところで、店舗は大丈夫そう?」


「B.C. square TOKYO店で働いていたおかげで、忙しさは割と大丈夫そうです。むしろあっちの方が客入りは多かったかも」


「まあ、オフィスビルだったしね。ちなみにあのビルどうなるの?」


「とり壊しになるみたいです。亡くなった人もいるみたいで、跡地を慰霊碑にしようって、総帥が仰ってるみたい」


「ニュースで見たよ。内部でのゴタゴタ争いだもんね……。あずさちゃん巻き込まれなくてよかったよ」


爆弾を身体に括り付けられていた話は外部に漏らしていないので、本当によかったと何も知らない中村は柔らかい笑みを浮かべて言った。


「ありがとうございます」


「よし、じゃあ新商品買ってこうかな!外で妻と子供もいるし、これから映画だからジュースと菓子パンも買ってくよ」


「ありがとうございます。1,670円です」


「社員割引つけないの?」


「貢献してくださいね。ってかうちの会社社員割引ないじゃないですか」


ニッコリ笑顔で言うあずさに、中村は苦笑して商品を受け取ると店を後にした。



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