男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
それで覚悟を決めて、全てを正直に口にした。
幼い頃から私たち双子は男女を逆にしたような性格で、両親を困らせていたこと。
そこから始まり、夜盗を捕まえた日の朝食の場で、兄の代わりに私が城に行くと決まるまでの経過を。
殿下は質問も相槌もなく、黙って私の話を聞いており、その間も鋭い視線を向け続けていた。
長い話になったので、もしここに湯気立つ紅茶のカップがあったなら、すっかり冷めてしまったことだろう。
話し終えた私は、藍色の絨毯に両膝をつき、頭を下げて許しを請う。
「私たち家族がしたことは、教育の義務に逆らうことでした。大変申し訳ございません。
ですが、反逆の意思は微塵もないのです。どうか、フォーレル家のお取り潰しだけは、お許しを。私はどうなっても構いませんので、どうか……」
必死の思いでお願いしても、大公殿下はなにも答えてくれなかった。
無言が続く間、私は頭を下げたままで、殿下の怒りの程度を考える。
言葉が出ないほどに、お怒りということだろうか?
やっぱり私だけの処分では、済まさないということだろうか?
ああ、お父様、お母様、ステファン……。