男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
「実は、先ほど……」
謝った後は、お茶会での出来事を話した。
ふたりでボート遊びをしていたら、リリィの帽子が飛んで池に落ち、私が泳いで取りに行ったことを。
ボート上での会話も全て話したら、殿下に「女たらしめ」と、笑われた。
「リリィがお前に惚れた理由がよく分かった」
「え? 私はなにも……」
「無自覚でリリィを虜にしたのか?
ますます困った奴だ」
殿下の言いたいことがよく分からなかったが、困った奴と言われて、三度謝ろうとしたら、バケツ半分の湯を頭から浴びせられた。
湯を吸い込んでむせる私。
「よし、綺麗になったぞ」という声がした、その直後、体に掛けていたタオルを取り上げられた。
再び裸体を晒すこととなり、慌てふためいていたが、すぐに悲鳴さえ上げられないほどの驚きの中に落とされる。
殿下が長い腕を回して、後ろから私を抱きしめているのだ。
片膝を木桶の中についているので、ズボンが水を吸っていることだろう。
雫のついた私の体を抱いているのだから、ブラウスの胸元も袖も濡れているに違いない。
「なぜ、このようなことを……」
震える声で問いかけると、「ふたりの人間を、虜にした罰だ」と言われた。