男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
そんな恐ろしい目を持つ少年を、野放しにしてはいけない気がしていた。
七年前の邪視を持つ少年は、その後どうなったのだろうか?青の騎士団が捕らえたのだろうか?
その疑問を、身を乗り出してロドリグにぶつけたら、彼は薄い唇の端を吊り上げ、ニヤリと笑った。
「現大公殿下の命令で、青の騎士が捕らえたよ。いや、城に招いたと言った方が適切かな」
「え、招いた?」
「そうさ。殿下は、邪視を持つ少年を欲しがった。それは、大公の爵位をめぐる争いにピリオドを打つため。自らの手を汚すことなく、弟を殺すためにだよ」
そんな……。
目を見開く私は、ロドリグに向けてゆっくりと首を横に振る。
殿下はそんなことをする人じゃない。
髪色が一夜にして変わるほどに、弟の死にショックを受けたと聞いた。七年も経ったのに、まだ黒い棒タイを外さず、喪に服してもいる。
殿下の青い瞳から感じるのは、強さと優しさ。
私の知っている殿下は、弟を殺すような人じゃない。
「それは間違いです!」とすぐに反論したが、「現に弟は、城内にて変死体で発見されてる」と言い返された。
「で、でも……」