男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

「憧れの青の騎士団に会えて、つい興奮してしまいました。大公殿下の御前なのに……。田舎者ゆえ、お許し下さい」


「いいえ、あれで宜しいと思いますよ」


「え?」


「大公殿下の笑い声を聞いたのは、久しぶりのことでした。ステファン様、あなたは特別な空気を纏ったお方ですね。どうか、この城に明るい風を吹き込んで下さいませ」


クロードさんは、こんな私に正しいお辞儀をして敬意を見せてくれてから、ニッコリと親しげに微笑みかけてくれた。


好意的に受け入れてくれるような態度と言葉は嬉しいけれど、特別な空気と明るい風って?


クロードさんと並んで広く長い廊下を歩き出しながら、首を傾げて考える。

私に吹かせられるのは、田舎風くらいだけど、それでいいのだろうか、と……。


< 31 / 355 >

この作品をシェア

pagetop