男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
早く助けなければ!
手袋を外し、フード付きのマントも邪魔だとばかりに脱ぎ捨てると、私は馬を高く飛ばした。
副団長とジェフロアさんの頭上を飛び越えて、着地したのは、殿下とクロードさんのすぐ横。
戦闘のど真ん中に飛び込んだのだ。
「ステファニー!?」
驚く殿下は私を本当の名で呼んでしまったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。
殿下だけではなく、悪党たちも驚いて、一瞬だけ戦闘の手が止まっていた。
注目が集まる中で、私が最初にしたことは、クロードさんを助けることだった。
馬の背から手を伸ばしてクロードさんの右腕を掴むと、引っ張り上げようと力を振り絞る。
クロードさんの左腕の出血を見れば、戦うどころじゃないのは瞭然。
ふらついていたし、このままでは意識を失いかねない状況だ。
私の思惑をすぐに理解した殿下は、下からクロードさんを押し上げてくれた。
「アミル、僕だけ逃げるわけにいかない!」
「ダメだ。ステファニーと一緒に逃げてくれ。お前を死なせたくない。早く行け!」