男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
まさかの男色家疑惑

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翌日、慣れないベッドでも熟睡して昨日の疲労を完全に取り去った私は今、退屈な授業を受けている最中。

この国では教会の鐘が時刻を知らせてくれる。

これから初夏を迎えようとしているこの季節は、日の出の時刻に一時課の鐘を聞き、今さっき三時課の鐘を聞いたところだ。

食事と休憩を与えられる午餐までには、次の六時課の鐘を待たねばならず、まだ先は長かった。


それほど広くない部屋の中に、机と椅子が五つ、半円を描くように横並びにされている。

私を含め、教育期間中の貴族の子息は五人いて、年齢は十三から十七まで様々。

今は文法学の時間で、ラテン語の教師が私たちの机の前を行ったり来たりしながら、教科書を読み上げている。

昨日、クロードさんに渡された授業のスケジュール表では、文法学の他に、論理学、算術、幾何学、天文学、商学など、じっと座って教師の話を聞かねばならない時間が多いみたい。

楽しみにしている馬術と剣術の時間は少なく、今日はないとのこと。

そうなると、初日の授業だといってもやる気が起きず、教師の話は全くといっていいほど頭に入らなかった。


私の席は窓際で、うららかな日差しの射し込む窓から外を眺め、ぼんやりしていた。

ここは二階で、窓の外は城の裏側。

裏側は下働きの使用人たちが多く行き来して、荷車から食材の入った木箱やカゴを城内に搬入している姿が見えた。

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