男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
「なんでクロードと一緒に逃げなかった」
「助けに来たからです。逃げては意味がありません」
「……困った奴だ」
話しながらも絶え間なく、剣のぶつかり合う音が響いている。
私が剣を振るおうとしても、殿下はそれを許してくれず、私への攻撃を全て受け止め弾き返して、自身への斬撃は、スレスレのところで回避していた。
これでは加勢にきたのではなく、邪魔しにきたようなものだ。
敵の剣の切っ先が、銀の髪を僅かに散らすのを見た私は、無理やり殿下の腕から抜け出して、背中合わせの体勢をとった。
「なにをやってる! 早くこっちにーー」
「私にも戦わせて下さい!
絶対に死なないと誓いますから。もし誓いを破って死んだなら、牢にぶち込むなり、首を跳ねるなり、好きに処罰して下さい」
「言ってることが滅茶苦茶だぞ……」
呆れる殿下だったが、戦いたいという私の意思を、やっと受け入れてくれる。
と言うより、五人も六人も一遍に襲いかかる中で、私を守りながら戦い続けるのは無理があるというものだ。
「真正面の敵だけに集中しろ。受け損なうなよ。お前の横と背中は俺が守る。分かったな?」
「はい!」