男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
感謝されるとは思っていなかったので、私の心に花が咲き、喜びのあまりに調子に乗ってしまった。
「私は騎士ですから、当然です。これからも殿下のお側で、誰よりも活躍してみせます!」
張り切って答えた私の言葉は、すぐに却下されることとなる。
殿下は低い声で私を諌めた。
「それは許さん。二度とお前を戦闘に巻き込むものか。俺の命令を無視して駆けつけた罰として、騎士爵を剥奪する」
「ええっ!?」
「と言いたいが……お前を側に置く理由がなくなるのは困るな。これまで通りでいいが、今後は二度と命令に背かないと誓え」
それは……誓えない。
もし再びこのようなことがあれば、私は駆けつけずにはいられないだろう。
「えーと……あ、あははは」
誓えない私が笑ってごまかそうとしていたら、肩を掴まれ体を少し離されて、厳しい目を向けられた。
「なぜ誓わない?」
「そ、それは……」
答えに詰まる私は、殿下の手をやんわりと外して、逃げ出した。
「ジェフロアさん、僕も手伝います!」
「こら、ステファン、逃げるな!」