男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
急いでくれていたんだ……。
もしかして、最近の手紙に返事をくれなかったのは、忙しさのあまりということだろうか?
返事を書く暇があるなら、早く私を迎えに行けるように動こうと。
末端貴族の結婚とは訳が違うのだから、私を迎え入れるまでの準備は相当に大変なのかもしれない。
それに気づいて、腕の中で顔を上げた。
文句を言ったことを謝ろうと思って「殿下」と呼びかけたら、「違うぞ」と優しい声で叱られた。
「え?」
首を傾げる私をクスリと笑い、殿下は青い瞳を弓なりに細める。
「これからは夫婦となるのだから、名前で呼べ。俺の名は覚えているか?」
「アミルカーレ様……」
「アミルでいい。
ステファニー・ド・モンテクレール、我が妃に永遠の愛を誓おう」
唇が重なって、深く、強く、お互いを求め合う。
これからはずっとお側にいられるのだと、私の目からポロリ、嬉し涙がこぼれ落ちた。