男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

嫌味を込めてわざと女らしい言葉遣いで、淑やかに微笑んで見せると、父は一瞬喜びかけてから私の意図に気づいて渋い顔をする。

私は女だからフォーレル家を継ぐ資格はない。
後継は双子の兄のステファンと、生まれたときから決まっている。

私に任せてくれるなら、全力でフォーレル家を盛り立てるというのに、それができないなら、いつかこの家を出ようと考えていた。


私には夢がある。

私たち貴族を束ね、広大な地を支配下に置くのはモンテクレール家だ。

長い戦乱の世を終わらせたのは十年ほど前のことで、今はモンテクレール大公国として、大公殿下が貴族たちを従え統治している。

そのモンテクレール家には青の騎士団という、それは腕の立つ剣士を集めた護衛集団があるらしい。

私は、その青の騎士団に入りたい。


毎日思う存分、剣を振り回せるなんて、考えただけでゾクゾクする。

強者たちと剣を交えて訓練できるなんて、ワクワクと胸が高鳴って仕方ない。

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