男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
ゾクゾクと鳥肌の立つような、喜びと興奮に包まれる。
城での帯剣を許してもらえたことでもあるし、これで剣術の授業以外でも剣を振るうことができる。
なんて、素晴らしいの!!
振り切れんばかりにテンションの上がった私は、大公殿下の執務室で素振りを始めてしまう。
ビュンビュンと空を裂く音を聞くのは、二日振り。
そう、たったの二日振りなのだが、随分と久し振りな気がして、楽しくて夢中になる。
クロードさんがワゴンの上で紅茶を淹れながら、「アミル、本当によかったの?」と問いかける声が聞こえてきた。
それに対して「いいだろ」と答える殿下の声は機嫌がよさそうで、
「おい、ステファン、カーテンを切り刻んでくれるなよ」と注意する声には、笑いが混ざっていた。