男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
一目置かれるようになった理由は、ラテン語の授業を免除されたせいで優秀だというイメージがついたため。
それと、もうひとつ。
この腰に刺している剣のお陰だろう。
噂というものはあっという間に広がるようで、脱走の副産物としてボゾネ一味が捕らえられただけなのに、なぜか私の功績のように伝わっているみたい。
大公殿下から褒美として剣を授けられたと、エドガーを含めた教育生四人は勘違いしていた。
若干の居心地の悪さを感じつつも、四人のお坊ちゃんたちに囲まれての朝食が始まる。
向かいからも左右からも「ステファン殿」と声をかけられて、会話に食事に忙しい。
特にエドガーは、他の人が話すのを遮ってまで私との会話を独占しようとするから、困ったものだ。
「ステファン殿、聞いて下さい。このひよこ豆のスープは、我が家の食事でもよく出されるんです。姉の好物なので。僕の姉はですね……」
なぜかお姉さんの話を始めたエドガー。
その話を聞きつつ、四日前にクロードさんから聞いた話を思い出していた。