男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

ゆで卵を食べ終え、スモークされたソーセージにナイフを入れながら、私は大公殿下の笑顔を思い出す。

笑ってくれたとき、自分がどんなことをして、どんな話をしていただろうかと考えて、今度は別のアドバイスをしてあげた。


「花嫁候補になる方法は分からないけど、会話したいなら、女性らしくしなければいいと思うよ。
男装して剣術を習ったり、悪党に一撃でも喰らわせたなら、笑って褒めてもらえるよ」


「どこの世界に、そのような女性がいるというのですか!」


どこにって、ここにいるけど……。

私は至って真面目に考えてあげたのに、エドガーは冗談だと捉えたようで、顔を赤くして怒り出した。


「もういいです。ステファン殿には頼りません!」と食事を残して席を立つ。


うーん、やっぱりエドガーは扱いが難しい。

初めは見下されて、その後に懐かれて、今は怒られた。

どう接すれば彼は満足してくれるのか……でも今は、そんなことよりエドガーの皿に目が行く。


もったいないから、その手付かずのソーセージ、もらってもいいだろうか?

今日は待ちに待った剣術の授業があるので、たくさん食べて力をつけておかないとね……。


< 77 / 355 >

この作品をシェア

pagetop