男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました
ゆで卵を食べ終え、スモークされたソーセージにナイフを入れながら、私は大公殿下の笑顔を思い出す。
笑ってくれたとき、自分がどんなことをして、どんな話をしていただろうかと考えて、今度は別のアドバイスをしてあげた。
「花嫁候補になる方法は分からないけど、会話したいなら、女性らしくしなければいいと思うよ。
男装して剣術を習ったり、悪党に一撃でも喰らわせたなら、笑って褒めてもらえるよ」
「どこの世界に、そのような女性がいるというのですか!」
どこにって、ここにいるけど……。
私は至って真面目に考えてあげたのに、エドガーは冗談だと捉えたようで、顔を赤くして怒り出した。
「もういいです。ステファン殿には頼りません!」と食事を残して席を立つ。
うーん、やっぱりエドガーは扱いが難しい。
初めは見下されて、その後に懐かれて、今は怒られた。
どう接すれば彼は満足してくれるのか……でも今は、そんなことよりエドガーの皿に目が行く。
もったいないから、その手付かずのソーセージ、もらってもいいだろうか?
今日は待ちに待った剣術の授業があるので、たくさん食べて力をつけておかないとね……。