男装した伯爵令嬢ですが、大公殿下にプロポーズされました

あのときに捕らえた男たちは、まだ尋問の真っ最中。

頭を捕らえても、まだ残党が都のあちこちに潜伏しているので、今は残党狩りをしているところだと。

それから都の治安維持は難しいのだという話もしてくれた。


「これだけ大きな街となりますと、悪というものは内部からも発生し、外からも流入します。
どんなに優れた政治が行われようとも、犯罪をゼロにするのは不可能なのです」


優れた政治と聞いて、大公殿下の美しい顔を思い出していた。

二十五歳という若さでこの都を統治する苦労を思った。

各地の貴族たちを束ねて、国としてまとめ上げるのも大変なことなのだろう。それは私なんかの想像が及ばないほどに。

なにかお手伝いできればいいんだけど……。


教育を受けにきただけの田舎貴族の私に、なにができるのかと考えて、難しい顔になっていたら、治安に関して不安に思っているのかと、ジェフロアさんに勘違いされた。

「心配ありません」と彼は慌てたように言葉を付け足す。


「我々、青の騎士団がいる限り、この国の平和は保たれるでしょう。それに、殿下の即位目前の、あのときに比べれば、今は犯罪率がかなり低下していて……」


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