all mine
子供のころはいつも颯哉達と遊んでいたくらいだからヤンチャなこともしたし、女の子っぽいタイプじゃなかったかもしれない。

今だって『好きだ』と告白したものの、潤哉さんに可愛く甘えられるわけでもなくて。

昔、いちどだけみたあの彼女は控えめそうな綺麗なひとだった。あのひとが潤哉さんの好みの基準だとしたら、私ってかなりイレギュラーなわけ?

会社でも愛嬌があるタイプとは言われるけれど、清楚とかおとなしいなんて感想は自慢じゃないけど一度も貰ったことはない。

「あれ、なんでお前固まってんの? 言っとくけど、お前がどうのってことじゃねぇよ。ガキのころから一緒だとさ、いろいろ取り繕えねぇボロが出てくるだろ? それにお前、親に兄貴と付き合ってるって言ったのか?」
「ううん、まだだけど」

潤哉さんのところへ泊まりに行くときは、友達のところに泊まってくるとしか言っていない。親にお泊り宣言するなんて照れくさくて憤死ものだ。

「まぁなぁ。どのみち親絡みになったら余計に面倒くさいだろうしな」
「面倒くさい?……そっか」

ポロリと呟いた言葉を聞き拾った颯哉は顔をしかめる。

「樹希ちゃんよぉ、ウザいからいちいち俺の言葉に反応しないでくれよ」
「……えっらそうに。颯哉なんか陰で私のことクソ女とか呼んでるくせに、何が樹希ちゃん、よ」
「んなの、いつの話だよ。絡み酒かよ、マジで面倒くせぇな」
「うるさいっ。黙って絡まれてろ」
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