いつか、その日を青春と呼ぶのだろう
返事、もらってないもんね。
それが、心残りだったのだろう。
でも、もうない。
この本で、全て伝わる。
しーくんは、私が、いなくなった後も私のことを考え、これを書いていたんだ。
だから、私の知らないやりとりも多かったんだ。
私のほおを涙がつたう。
幽霊でも、生きてなくても、涙は流れるらしい。
胸が痛い。
しーくんは、私のいない世界でも毎日、私を考えてくれた。
もう戻るはずのない日常。
もう会話できない二人。
きっと、あの時、呼び止めていたら……なんて考えて、悔やみながら。
それはどんなにつらい作業だろうか。
考えただけで、胸がつまる。
しーくんの過ごした日々は青春とはほど遠いのかもしれない。
でも、嬉しい。
チョコレートの返事なんて聞くまでもなく、
私は、世界で一番愛されている。
それが伝わる。
というか、私の手作りチョコレートなんかでは、
釣り合いがとれないほどのお返しだ。
3倍返しどころの話じゃない。
それこそ、人生全部を私にくれたんだ。
ありがとう、しーくん。
こんなに愛してくれて。
ごめんね、しーくん。
全然、愛せなくて。
ほんとは、もっと二人でいたかった。
楽しいことも、もっとしたかった。
一緒に行きたいところ、
一緒にしたいこと、
聞いてほしいこと、
聞きたいこと、
してほしいこと、
してあげたいこと、
たくさん、たくさんあったんだよ?
しーくんも、あった?
キスは、どんな時にする予定だった?
旅行したかったな。
しーくんの車の助手席乗りたかったな。
ピクニックで、お昼寝したかったな。
結婚してたら、どうなってたかな?
料理そんなに好きじゃなかったけど、
チョコレート作ってるとき、
しーくんの喜ぶ顔を想像したら、楽しく作れたんだよ。
こどもは、二人が良かったな。
ケンカもするんだろうなぁ。
たぶん、私が謝れないから、困らせたんだろうな。
ごめんね、しーくん。
先に死んじゃって。