タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
1.始まる、音

ついにこの日がやってきてしまった。


一日の始まりにこんな言葉を思うなんてどうかしてる。

普段の私にはそんな焦りの混ざった朝を迎えるわけではない。



耳元で鳴り響く3つのアラーム音で目をこすり、カーテンから漏れる日差しに目を細めて、窓を全開にさせ大きく深呼吸をする。


それが、普段の私の一日の始まり。




だけど、今日は違う。

まるで自分が自分じゃないみたい。




いつも通りアラーム音で目覚めた。



でも、起きてすぐ視線を向けたのはカレンダーで、次に見たのは机の上に無造作に置かれてあるスマートフォンだった。


恐る恐る手を伸ばしてそれを取る。

手が震えた。


その理由はこれを見れば明らかになることだ。



唾を飲み込んだ。

額から汗が滲んでくるのを感じた。


深呼吸を2回してから、LINEを開く。


送り主の名前がトップにあった。


その名前が妙に大きく強調してくる。


さらに私の心臓の速度を上げさせた。





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