タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「ウターーっ……ぁ……!」
「ちょっとアンタねーっ……ぇ……!?」
姿を現した人影をめがけて拳を突き出すも、それは腕を伸ばしたまま停止した。
相手も私を見て目を大きくさせて、それから勢いのあったオーラが沈下していく。
すると脚に何かが絡みつくのを感じて小さく悲鳴を上げた。
下を見ると白い物体が見え隠れしていて、
さっき飛び出てきたやつだと理解したけど、目の前の人物には顔を引きつることしかできなかった。
「ぜ、ゼテルア、さんですか……?」
恐る恐る聞いた。
敬語になってるのは私の知っている姿と全く違うからだ。
髪は空に乱れ、上半身は肌があらわになっている。
その人が縦に頷いたのをみて私は胸をなで下ろした。
「よかった〜、不審者かと思った……」
「ご、ごめんなさいねっ。……はずかしいっ」
顔を覆うゼテルアさん。
よっぽど見られたくなかったんだなと理解した私は次に下にいる白い物体を見た。
それにしても、凄い変わりようだ。
いくらオネエだからといってこんなに変わってしまうなんて。
怒ると男剥き出しになってしまうんだとか。
そういえば前にそんな瞬間があったような……?
私は胸の内に誓った。
怒らせるようなことは絶対にしない、と。