タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「大丈夫か!?」
「…………っ」
床にへばりついているみたいで立ち上がることのできない私は懐かしい声に頷く。
それでも震えは治まらなくて、自分を自分で抱き抱える。
怖かった。
とても、怖かった。
はじめて男子を怖いと思った。
顔を腕の中にうずくめると、背中にぬくもりを感じて小さく肩を跳ねさせた。
「あっ、ごめん。
嫌だったよな。ごめんな」
声だけでどんな表情をしているのか分かるくらい、とても困った顔をしているのだろう。
もう背中にはぬくもりを感じなかった。
……。
嫌じゃなかったのにな。
なんて言えるわけない。
ドアが開く音が聞こえた。
「なんなの?!アイツ。気持ち悪いんですけど!……大丈夫?」
毒づきながら入ってきた女の子が私の目の前に来て、今度は語りかけるように聞いてきた。
まだ顔を埋めたまま「うん」とだけ答える。
「そっか。よかった。
……て何その顔」
後半の部分は多分男の子に言っているのだろう。
声のトーンがガラリと変わったのを耳にして、私はそっと微笑んだ。
いつもの歩未だ、と思ったから。
男子にキツいのは私と知り合ってからずっとだ。
こんな風になったのは親の影響だと以前に聞いたことがあった。