タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

「さて、帰ろっか」


歩未の声に頷き、立ち上がる。


先程より軽くなっていることにほっとした。

震えももう無いから少しは落ち着いたのだろう。


2人のお陰だ。


私は心の中で感謝した。


2人の背中を眺めながら共に校舎を出る。



この感じがとても懐かしかった。

たまに3人で帰るときがあって、その時はいつも私の前には2人がいた。


そうして言い合いを始める背中に笑っていると、声を重ねながら2人に突っ込まれて、結局3人して言い合いをするんだ。

幸太郎とは、顔を合わせるたびに喧嘩してた。

なんで喧嘩してしまうんだろうね。

小学校からずっと一緒だったから?

私と幸太郎は、腐れ縁だ。


親同士が仲がいいからとか、小さい頃から一緒にいたとかじゃないから。

気づけばいつも一緒にいるやつ。

そんな間柄だ私たちは。


君と喧嘩をしないように半年前から避けようと心掛けていたんだよ。

でも、幸太郎がそうしてくれなかった。


ずっと突っかかってくるんだ。

私は喧嘩したくなくて避けていたのに。


そうやって関わってくる理由は薄々気づいてる。


私のこと嫌いなんだよね?


目が合うだけで『見んなよ』って言うくらいなんだもんね。


私も私で食いついてしまうのもいけないんだけど……。


でもね、君の近くにいられると思うだけで、嬉しかったんだよ。
馬鹿だよね。



『喧嘩』が唯一君との繋がりだったから。



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