タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
私は羽根ペンを手に取って紙と向かい合った。
年月日を記入していく手はなんでか震えていて、一文字書くたびに深呼吸をしていった。
書き終えると羽根ペンを置いて大きく深呼吸をした。
よし、次は名前。
また羽根ペンを手に取ると「ちょっと」と上から声がして、思わず肩をビクリと震わせた。
声が低いことに怒っているのだろう。
それでも私は手を止めることをしないで名前の一文字目を書く。
二文字目を書こうと紙にペン先を置くと今度は手を掴まれた。
「なにすんの」
「本当にこれでいいの?」
「いいの。どうせ辛いだけじゃない。こんな思いするんだったら終わらせた方がましだよ!」
「じゃあこの先もずっと後悔しないっていう自信があるのね?あなたは何のために姿を変え、降りていったの」
「……っ」
ゼテルアさんの言いたいことは分かってる。
分かってるけど、辛いよ私。
姿を変えたのに遠く感じるの。
2人のそばにいるとどうしても生きていた頃の思い出が蘇ってくる。
まだ生きていたら、ってどうしても思ってしまう。
それが、私には凄く重いっ……。