タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「なにみてんの?」
「えっ、あぁ、」
「あれ、松崎じゃん」
そう呟くのは前の席の田中さん。
びっ、くりした〜っ。
いつから居たのだろうってくらい全然存在感を感じなかった。
って、私ひどすぎるね。
「で、なんで顔赤いの?」
田中さんはそう言うと、肘を机につけて私の顔をまじまじみてきた。
「え!うそ、赤い?」
「ほら」
ゴソゴソとリュックから手のひらサイズの鏡を取り出し、差し出される。
渋々受け取って見てみると、そこには頬を赤く染めた自分がいた。
もとが色白だから、鮮明に強調されてる頬。
「ほんとだ……」
なんで、と思うよりも先に原因は見つかった。
きっとあの言葉でこうなったんだ。
この時点で、これって……。
私、本当にできるのかな。
「なに、好きなの?松崎のこと」
その言葉に戻しかけた鏡を落としそうになったのは言うまでもない。