タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
──ガラッ。
わりと静かな職員室に大きく響いた音に、我に返った。
木村は私の背後をみて、大きなため息を一つした。
「オマエは〜。ったく」
「ごめん先生ー」
「ごめんじゃ済まないくらい、これから大仕事してもらうからな」
「うっわー。だからキム先……って、あれ?佐來さんじゃん」
私の名前を呼ぶその声にドキリと胸が高鳴った。
いや、もうはじめから鳴りっぱなしだった。
「あぁ、キム先に呼び出されたんだっけ」
浜仲から聞いた、そう付け足して私に笑みを向けてくる。
コクっと頷いた。
そういえば、木村の授業居なかったな〜と思いながら。
「松崎くんも木村先生に?」
「いや、森川に言われて」
ああ、朝のか。納得。
「まさかキム先の手伝いだとは思わなかった」
そう大げさに声をあげる幸太郎に木村は鼻で笑って席を立った。
その後ろをついて行けば、職員室の隣の個室に入らされ、何やら棚から大きな段ボール箱を取り出した。
ドサッとテーブルに置くと重みでそれが軋む。
「これ全て、ホチキス止めしたら帰っていいぞ」
終わったら声かけろよ、じゃ、よろしく。
そう軽く手を上げて、出ていった。
そして、思うんだ。この段ボール箱をみて。
ダルすぎるって。