タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

──ガラッ。


わりと静かな職員室に大きく響いた音に、我に返った。


木村は私の背後をみて、大きなため息を一つした。


「オマエは〜。ったく」

「ごめん先生ー」

「ごめんじゃ済まないくらい、これから大仕事してもらうからな」

「うっわー。だからキム先……って、あれ?佐來さんじゃん」


私の名前を呼ぶその声にドキリと胸が高鳴った。

いや、もうはじめから鳴りっぱなしだった。


「あぁ、キム先に呼び出されたんだっけ」

浜仲から聞いた、そう付け足して私に笑みを向けてくる。


コクっと頷いた。

そういえば、木村の授業居なかったな〜と思いながら。


「松崎くんも木村先生に?」

「いや、森川に言われて」


ああ、朝のか。納得。


「まさかキム先の手伝いだとは思わなかった」


そう大げさに声をあげる幸太郎に木村は鼻で笑って席を立った。


その後ろをついて行けば、職員室の隣の個室に入らされ、何やら棚から大きな段ボール箱を取り出した。


ドサッとテーブルに置くと重みでそれが軋む。


「これ全て、ホチキス止めしたら帰っていいぞ」


終わったら声かけろよ、じゃ、よろしく。


そう軽く手を上げて、出ていった。


そして、思うんだ。この段ボール箱をみて。


ダルすぎるって。


< 143 / 277 >

この作品をシェア

pagetop