タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
──パチン、パチン、パチン。
静かな空間に、数枚重なったプリントを留めていく音が響く。
他に聞こえてくるのは、小さなボールを高く打ち放った音、それを促す声に、思わず口ずさみたくなる奏でる音。
それと、私の心臓の音。
幸太郎はホチキスで、私は紙をまとめて渡すという作業を繰り返している。
どのくらいの時間が経ったのだろう。
とても簡単な作業なのにすごく長く感じる。
プリントを整いながら時計を探すけど、この部屋には無いみたい。
外はオレンジが綺麗に青に馴染んでいる。
あれから1時間は経ったのかな?
そう思うほど、意外と時間って少ししか進んでないんだよね。
「あー、疲れたぁ……」
「少し休む?」
「いや、サッサと終わらせて家帰る」
「だよね。あともう少しだから、すぐだよ」
段ボール箱の中をみせて言うと、歓喜の声をあげるから思わず笑ってしまった。
なんか、犬みたい。
私にはしっぽをブンブン振ってるように見えてしまったから。
見た目からして人懐っこいから、不覚にもかわいいとか思っちゃうんだよね。
なんかムカつく。
でも好き。君には敵わないんだ。
ラストスパートに向けて幸太郎の手は俊敏で、そのお陰で予想していたよりもだいぶ早く終わることができた。