タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
中学校を通り過ぎ、住宅街を抜けて、道路沿いに出ると目印のケーキ屋さんが見えた。
その少し行った先を右に曲がれば、帰れるのだけれど、もう当たり前のように通り過ぎる。
校舎を出てから一度も喋らずにきたことに少し感動を覚える。
これが、いつもだったら何かしら突っかかってきてグチグチ言い合いになってるんだろうなぁ。
今となってはとても貴重でいい思い出だよね。
うるさすぎる帰り道が楽しかったもん。
一歩手前にいる幸太郎の横顔をみた。
前を見据える瞳は、光で反射していてキラリとしていた。
いま君は何を思っているのかな?
私はこんなにも思い出に浸っているのに、君は何を思っているのだろう。
私は、ここにいるよ。
そう言いたくなる時は、この瞬間と歩未にちょっかい出しているとき。
『佐來あゆな』じゃなくて、『倉村亜優奈』で一緒に笑い合いたい。
気づくともう公園前を歩いていた。
もうすぐ今日が終わってしまうんだね。
てか、無言すぎて私つまんないんだけど!幸太郎!
そう心で叫んだとき、聞き覚えのある声が幸太郎を呼んだ。