タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

ふたりで振り向くと、少し大人びた 新太(しんた)がいた。

小走りで近づきながら手を振る新太に幸太郎が軽く手を上げる。


「兄ちゃんも今帰り?」

「おう」

「で、兄ちゃん。この人は彼女なん?」


そう言って私を指さす幸太郎とは違う少しいじわるい目。


ドキッとさせた私は軽く笑みを浮かべた。


頭を叩かれた新太はなんだか嬉しそうだったから。


仲いいよねほんと。

こう見るとちゃんとお兄ちゃんしてるんだなって、感心する。

そして、胸が高鳴っちゃう。

そんな姿を見ていると幸太郎が私を見て「ごめんな」って言った。口パクで。


顔が熱くなった。


思わずキュンって。


今までにないくらいの大きな矢が心に突き刺さった。


それはまだ抜けなくて、じんじんしてる。



私は前を行くふたりの背中をついて行くのに精一杯だった。



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