タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
私は前を見据えて、新太は振り返った。
そこには背の低い男の子。
ゆるふわな髪はキャラメル色で、口をキュッと閉じてこちらを潤んだ目で見ている。
……きみ、なんでこんなところにいるの?
ダメだよ来ちゃ。
私、私……!
「ウターーーっ」
思いきり抱きつきに走ってしまうんだから。
「いやーん、チョー可愛いんだけどっ。ね!もっかい『お姉ちゃん』って言っ、!」
身をかがみウタの頬に擦り付けてから気付く。
亜優奈全開ってことに。
振り向けば案の定、新太は目を見開いているわけで。何か言いたそうな顔に私はウタを前に出した。
小さく咳払いをしてから言う。
「私の弟のウタ。可愛いでしょう」
どうだ。弟がいる時点でなにも疑えなくなるでしょう?
だって、亜優奈にはきょうだいがいないんだから。
お願いだから、もうこれ以上詮索しないで!