タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

ようやく、長い1日が終わる。


無事、ここに戻れたことにほっとして、今はウタくんとゼテルアさんの書斎みたいな大部屋でくつろぎ中。


ゼテルアさん特製のココアを飲みながら大きなため息をつく。



「はあー」

「あゆなさん危なかったですよっ」

「ウタくんごめんね!すごく助かった。ありがとう」

「そ、そそ、そんな!ボクは……っ」


顔を赤く染めるウタが可愛すぎて頭を撫でた。


本当は抱き着きたかったんだけど、多分いまのウタくんは逃げ出しちゃいそうだから。



「あゆなん、本当ばかね~」


そう言って笑うぜテルアさんを小さく睨んだ。


もう、さっきからその言葉ばっか。
ま、予想はしてたけどね。


……耳にタコが出来そうだよ。


それから私のハート、ガラスだからもう割れそうですよ……。



「あゆなんはそんなんじゃないわよ。もっと頑丈よ」と微笑んだ。



よく言うよ。
昨日あんなにボロボロに嘆いてたの見てるというのに。


これのどこが……。



「貫き通したんだから。大丈夫よ」


それは新太とのことを言っているのだろう。


あの後は、すんなり別れることができた。

でもそれが出来たのは全てウタのお陰。



『お姉ちゃん方向オンチなんだ』で免れたんだよね。



ま、当の本人はどう受け取ったか知らないけど。でも、あの場から逃げられたことに抜かりはないから、良しとする!


「ゼテルアさん、褒めるならウタくんに言ってあげてよ。震えながら、頑張ってくれたんだから。ね!」


笑ってみると、ウタくんはその場から逃げていった。



そして消えた方を見た私たちは同じ言葉を漏らすんだ。



「めちゃくちゃ可愛い」と。


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