タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

朝食を済ませると、なぜか私の部屋でゲーム大会が開催された。

ゲームといっても、オセロ。


食事中に『今日何しようかな』という私の小さな小さな独り言(心の声)を盗み聞きしたゼテルアさん。


『盗み聞きじゃないわよ、聴こえちゃうの!』と言い訳してきたけど、知らん顔しちゃった。


そこから、『楽しいことしましょ!』というゼテルアさんの提案からこのオセロにたどり着いたってわけ。


やったことないんだって。

鬼ごっこ、トランプ、将棋、チェス、花札とかいろんな遊びをあげていった中で、興味を示したのがオセロだった。


それより、私はやり過ぎて飽きたよ。


もう何回目?

たぶん20回はやってるよね?


いま対戦してるのはゼテルアさんと和人さん。


和人さんは、私が初めてこの世界に踏み入れ、真実を知ったときにたくさんのご馳走を用意してくれた一人だ。


彼の名前は、 志水和人(しみずかずと)

5年前に不慮の事故にあって現在はパティシエとして働いているんだって。


ゼテルアさんが言うにはもうここにいなくていいらしいんだけど、なんでここにいるのか渋々聞いてみたんだ。


そしたらね、


『未練は、元から無かったんです。笑顔が見られれば充分で。でも逆に夢を見つけてしまって。〝今以上にたくさんの笑顔がみたい〟と……』


そう言って照れくさそうに笑った。


もう死んでしまったけど、この世界では存在しているから。


と、そう続けた和人さんは、元パティシエであることから、ゼテルアさんに頼んでここに留まらさせてくれているんだ、と言っていた。


なんかその話聞いてジーンときたよね。

だって夢を叶えちゃってるんだもん。


すごいよね。



< 162 / 277 >

この作品をシェア

pagetop