タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

~♪


笑い声に混ざった穏やかな着信音。


瞬時に電話だと悟った。


うつ伏せのまま手だけを動かし枕元に置いてあるスマホを取った。

ダメージはだいぶ回復してきたものの、起き上がるのも面倒で、そのまま画面を覗いた。


名前を見た瞬間飛び起きて正座をした。

親友からだったから。


「も、もしもし!?歩未っ、ちゃん?!」

《うん、私。てかなんで疑問形?》


そう言って笑うから、つられて笑った。


でも内心ヒヤヒヤだったりする。

つい、いつものくせで『歩未』って呼んじゃうところだったから。



「歩未ちゃんからの電話が嬉しくって」

《なにそれ~、よくしてるじゃん》

「そーだけどね、嬉しかったんだ。ちょうどショッキングな……ぁ」

《ショッキング?》

「え、と……」



これは、言ってもいいやつですかっ?!
ゼテルアさん!?


目で訴えた。

すぐさま『誤魔化して!』って口を動かされた。


ご、ごまかす!?な、何を言えば……!



「しゅ、宿題が詰んでて!」


よし。ナイス宿題!

心の中で親指を立てた。



《あー、宿題ね。私は終わったよ》

「そうなんだ~……エっ!?」

《ふふっ、私最終日に終わらせる~っての嫌いだから。夏休み楽しみたいし》



……あぁ、そうだった。

歩未こう見えて真面目ちゃんだった。

忘れてた。


《あゆなちゃん、もしかして最終日間近に終わらせる派?》

「え、……うん」



歩未は驚いた声で《ウソでしょー?》って言ったけどもう一度言うと《意外だ~》なんてまた驚いた声をあげた。


それもそうだ。この〝あゆな〟は女の子らしく、しっかり物事を進めていくタイプの雰囲気を持っているから。



「意外でしょ。私こう見えて面倒くさがりなんだ~」



< 167 / 277 >

この作品をシェア

pagetop