タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
~♪
笑い声に混ざった穏やかな着信音。
瞬時に電話だと悟った。
うつ伏せのまま手だけを動かし枕元に置いてあるスマホを取った。
ダメージはだいぶ回復してきたものの、起き上がるのも面倒で、そのまま画面を覗いた。
名前を見た瞬間飛び起きて正座をした。
親友からだったから。
「も、もしもし!?歩未っ、ちゃん?!」
《うん、私。てかなんで疑問形?》
そう言って笑うから、つられて笑った。
でも内心ヒヤヒヤだったりする。
つい、いつものくせで『歩未』って呼んじゃうところだったから。
「歩未ちゃんからの電話が嬉しくって」
《なにそれ~、よくしてるじゃん》
「そーだけどね、嬉しかったんだ。ちょうどショッキングな……ぁ」
《ショッキング?》
「え、と……」
これは、言ってもいいやつですかっ?!
ゼテルアさん!?
目で訴えた。
すぐさま『誤魔化して!』って口を動かされた。
ご、ごまかす!?な、何を言えば……!
「しゅ、宿題が詰んでて!」
よし。ナイス宿題!
心の中で親指を立てた。
《あー、宿題ね。私は終わったよ》
「そうなんだ~……エっ!?」
《ふふっ、私最終日に終わらせる~っての嫌いだから。夏休み楽しみたいし》
……あぁ、そうだった。
歩未こう見えて真面目ちゃんだった。
忘れてた。
《あゆなちゃん、もしかして最終日間近に終わらせる派?》
「え、……うん」
歩未は驚いた声で《ウソでしょー?》って言ったけどもう一度言うと《意外だ~》なんてまた驚いた声をあげた。
それもそうだ。この〝あゆな〟は女の子らしく、しっかり物事を進めていくタイプの雰囲気を持っているから。
「意外でしょ。私こう見えて面倒くさがりなんだ~」