タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
《確かに、そんな気はしてたよ》
「……え?」
マヌケな声が漏れた。
そんな気はしてた……?
なぜか冷や汗をかいた。
私、学校ではちゃんと課題はきっちりサボらずやってきてるよ?
いつもなら面倒くさくて当日に焦ってやるような私(亜優奈)が、人が変わったように真面目に取り組んでるんだよ?
一瞬よぎったのは、新太だった。
も、もしかして……歩未も?
歩未も霊感とかもってたりするの?
でもそんなこと有り得ない。
だって去年話した。
その日、前日の夜にやってたホラードキュメンタリーについて興奮気味に語った私に嫌々ながら聞いてくれて、『霊感ってもってる?』なんて聞いた覚えある。
「歩未ちゃん、霊感とかってある?」
気づけばそんなことを口に出していて、息をのんだ。
撤回したかったけど、はっきりと言ってしまった私に今度は電話の向こう側がマヌケな声を漏らしていた。
《な、何急に》
「えと、っごめんね。なんか急に寒気がしちゃって」
《やだ、怖いこと言わないでよっ》
「だ、大丈夫!冷たい風が入ってきただけだからっ」
《……》
黙り込む歩未。
怖がってしまった?
あの時も平気な顔してたけど、一日中微かに震えて、周りも警戒しながら過ごしてたもんな……。
でも、寒気がしたってのは事実。
後ろで3人がうちわで遊んでるから……。
てか、ゼテルアさんのうちわ大きすぎる!
この風の正体はおまえかッ!って突っ込みたくなるのを飲み込んで、呼びかけた。
「あ、歩未ちゃん?」
《はっ、な、ナニ?!》
「怖がってるの?」
《べ、別に?こんなんで怖がるわけないよ》
ああ、やっぱり怖いんだ。
ふっ。
こうやって強がるのもなんか久しぶりで、懐かしくて、思わず笑ってしまう。
笑う私に尽かさず突っ込んでくるところも懐かしくて、涙が滲んできた。
歩未ーーっ。
あなたは大切でかけがえのない親友だよまったく!
《あのねー、いい加減収まらないと怒るよ?》
「くっ、クククっごめ、もうちょい」
《…………》