タイムリミットは君にサヨナラをするまで。


「お待たせ!」



──ドッキーン。


「お、おはよう」

「おはよう。っていってももうお昼だけどね」


そう言って笑う歩未に私も口角を上げた。


歩未、なぜ後ろから来たの……。
私の心臓結構飛び出たよ。


そんなことより!
私、バレてない?!バレてないよね!?

普通に呼んじゃってたとこ聞いてないよねっ。


脳内若干のパニックを起こし、並んで歩きながらヒヤヒヤさせた。


「あゆなちゃんとこうやって会うの初めてだよね」

「うん、そうだね」


話が逸らされたことに胸をなで下ろす。


よかった。気付いてない。

思わず手に力を入れてしまった。
宙ぶらりんのその手は彼女には見えていないはずだ。


「いつも制服だからね、やっぱ私服もかわいいね」

「へ?!」

「あゆなちゃん天使みたいに可愛いからさ」

「て、てんし!?」


歩未、ほんとどうしたの。柄にでもないこと言っちゃって。

もしかしてキャラチェン?

優しい女の子を目指すようになったの?

あんなにツンしてたのに?


歩未との出会いは中2の時。

私たちは同じ中学に通っていたわけじゃない。


塾で知り合った子なんだ。

そう、いわゆる塾友。


春期講習にお試しで通いだした。
私は当初から成績が危ういと言われ、渋々通ってた。


歩未も同じタイミングで通っていた。


席が隣同士だったんだけど、可愛い顔して『話しかけんな』オーラが目に見えてたことは今すぐに思い出せる。


いや~、あの時は話しかけたくても怖気づいちゃって、なかなか声かけられなかったんだよね~。


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