タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

やって来たのは、全国各地にある有名なアイスクリーム屋さん。


外が暑すぎたせいで、私たちがまず声を合わせて言ったのは『アイス食べたい!』だった。


ラッキーなことに今日は〝0の日キャンペーン〟だったみたいでどのコースでも+1個アイスが追加されるんだって。


てことで、私はカップのダブル+1個にし、歩未はコーンのシングル+1個にした。


今更なんだけど、私フツーに買ってしまってた。
本当は、カップのシングルにするべきだったはずなのに!


完全にしくった。


──……ゼテルアさん、聞こえてますか。またバカしました私。どうやら気持ちが昂ってしまうと隠しきれないようです……。



なんて、目を閉じてミニ反省会をしていると大きなため息が聞こえた。


声の主は、歩未だった。


「なんかごめんね。せっかくあゆなちゃんの浴衣を買いに来たのに」

「ううん、大丈夫だよ……って歩未ちゃんは買わないの!?」


それは聞いてない私。ビックリだよ。



「だって私去年の……」

言葉を詰まらせたその表情は苦しそうに歪んでいく。


そんな彼女は何かを飲み込むようにアイスをスプーンでがっついた。


私もひと口、さらにひと口と口に運んだ。冷たくて甘く苦かった。


隣から啜る音を聞いて、私は躊躇いながらも背中を撫でた。


よかった、人気のない場所にきて。

お手洗いへ繋がっているこの場所は意外にも人目につきにくい。


「ふっ……ぅ、ごめっ」

「いいよ。大丈夫」


辛い思いさせてごめんね。


〝あゆな〟違いだけど、あなたを笑顔にさせられるのなら、いつでも力になりたい。



だから、強がらないで。
泣いていいよ。泣きなよ。
私が全部受け止めるから。
そばにいるよ。


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