タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

「え……」


微かに感じた小さな動き。


すると今度はしっかり伝わってきた。


再び涙が溢れ出る。



「な、言っただろ。ちゃんと戻ってくるって」


後ろから松崎がそう言うから、素直に頷いた。

それと同時に、呼び出された理由も分かった。


亜優奈は、まだ生きてる。

こんな状態でも、まだ希望はあるんだ。


溢れる涙を乱暴に拭って、思いきし笑う。


「っ、亜優奈、頑張って生きて。私待ってるからっ、私のためにまた笑って……っ」


そう告げるとまた小さく指が反応した。


まるで、『当たり前じゃん』って言ってるみたい。



「ふふっ、私の声聞こえてるの?」

「そうなんじゃね」

「……そっか」


松崎が代わりに代弁してくれてるみたいで、自然な笑みがこぼれた。





亜優奈、また来るね──。




< 188 / 277 >

この作品をシェア

pagetop