タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「なあ」
「……なに」
「……もうよくね?」
「は?なにが……!」
その意味を理解した瞬間、反射的に手を放した。
やだ、私なにずっとしてたの。
最悪。チョー最悪!
「なんだよ、その顔。お前から掴んできたんだろーが」
「っ。あ、アンタがもたもたしてるからでしょ!」
「はあ?ったく。……でも助かった。ありがとう」
どくんと、なぜか胸が高鳴った。
松崎って、こんな表情するんだなぁ……なんて心にもないことを思った。
これか。松崎を好きになるポイント。
不覚だった。
「なんだよ人の顔じっと見て」
「……相変わらず憎い顔してるなって思って?」
「は?憎い顔!?これのどこがだよ!これでもモテ顔なんだよっ」
「うっわー……」
きも。
バッカじゃないの。そんなにドヤって言うことじゃないでしょ。
でも、これくらいバカ元気であればいっか。
あんな苦しそうな松崎よりこっちの方がいいもん。
──ね、亜優奈もそう思うでしょ?
オレンジに染まりはじめた空を見上げてそう尋ねてみた。