タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

お互いの家が見えてきた頃、後ろから松崎が言った。


「昼さ、おまえも俺になんかメールしようとしてた?」


足を止めてしまった。
一瞬だけ意識が飛んだ。


そうだ、すっかり忘れてた。
松崎に聞くんだった。


私は松崎に向かって頷いた。


「ビックリしたし、即既読つけたから」

「いや。それはこっちのセリフだし」

「で、なに?」


そう言って歩き出した彼が隣に来る。
なぜか笑ってる松崎に顔をしかめた。


てか、なんで隣来るの?!


離れようとしても縮めてくるから、仕方なくそのままにして歩く。



……困ったな。どう切り出そう。

私がコイツを夏祭りに誘うとか絶対怪しまれるし、からかってくるに決まってる。


隣は私の言葉を待っているのかおとなしい。

ある意味きもちわるい。
おとなしい松崎とか考えられない。
いつもうるさいヤツとしか私は見ていないもんだから、何となくこそばゆい。


ああー!もう、言え!こんなの耐えられない!!



「あのさ、8月6日空いてる?」


我慢の限界で言ってしまった私に松崎は「黙ってて正解♪」と笑われた。



迷わず蹴りを入れたのは言うまでもない。



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