タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「ッテ……!」
「うるさいバカ!」
泣くのを堪えるのにまた蹴りを入れてしまうあたり、残念な性格してるな~私。
隣でブツブツ言う松崎を無視して足を速めた。
再び隣を歩く彼は勝手にしゃべり続けるから軽く相槌をうつ。
ここに亜優奈がいたらうるさい猿がもう1匹増えて喧嘩をするんだろうなと思った。
また、3人で帰れる日が来るかな。
来て欲しいな。
いや、来て。
可能性はゼロじゃないんだから。
何となく見上げた空は、オレンジが薄れて群青色が新たに占領していた。
やっと家の前に着いた私は、松崎と別れる際に夏祭りのことを改めて告げると「分かった」と頷き、歩き去るのを見送った。
小さくなった背中に少し笑みをこぼした。
「ありがとう松崎」