タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「うわ!」
「よっ」
廊下に響く浜仲の声。
瞬時に口元を覆うとバツが悪そうに目を伏せた。
「来てたんだな」
「まぁね。早く目を覚まして欲しいし」
ドアに視線を向けるその表情はいつも以上に柔らかく感じた。
「あんたも懲りないねぇ。亜優奈ウザがってるんじゃないの?」
「はは、そーかもな。別にいいよ」
「いいんだ?」
「まー、俺嫌われてそうだし?」
そう。俺はたぶん亜優奈に嫌われているんだと思う。
1年くらい前だったっけ?
突然避けられるようになったのは。
原因はよくわからない。でも嫌われているんだと思う。
それがなんか気に食わなくて、逆にこっちから近寄ってみた。
なのに今度は何事も無かったかのように、喋ってくるし、近づいてくる。
もう訳が分からなかった。
でも避けられるよりはマシだと判断して、あまり考えないようにした。