タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
電車に乗ること15分。
夏祭りが開催される小さな神社へ来た。
待ち合わせ場所となった大きな鳥居周辺にはたくさんの人で溢れかえっている。
小さな子どもがわたあめを食べているのをみて心の奥で『後で絶対食べよ』と決めた。
「アイツ遅い」
腕を組みながら声を荒らげる歩未はせっかくの美人が台無しになってしまう程悪態ついていた。
まぁ、そう悪態つくのも分からなくもない。
ここに来てから15分は経っているのだから。
幸太郎は遅刻魔ではないんだけど(学校は別として)、今回は結構遅い。
ふと脳裏によぎる。恐ろしい出来事。
いやいや、それは大丈夫。
でも……。
人はいつ何が起きるか分からない。
幸太郎、大丈夫かな。
連絡すら貰っていないから不安は募るばかりで。
歩未と2人でハラハラさせながら何も起こらないことを願って待つことしか出来なかった。