タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「あ、いたいた!」
後ろから幸太郎の声がして反射的に振り向いてしまったのを後悔した。
思ったより距離が近かったから。
私の顔を見た彼は歩未に視線を移した。
「泣かせたの?」
あー……。
ね?そう来ると思ったよ……。
内心、涙する。
幸太郎、違うんだよ。歩未は何にも悪くないの!私が悪いの!
あ、歩未……?
ふるふると小刻みに震えているのを見逃さなかった。
ここで喧嘩しちゃう?しちゃうの??
それは駄目だ。だめ。
「ち、違うよ?歩未ちゃんは何もしてない!ちょっとだけ私の相談に乗ってくれてただけだから」
いやいやいや何言ってんだ私っ!嘘下手か!!
そんな言い方したら逆にもっと怪しまれるじゃん!
バカ!私のバカ!!
そうハラハラしたのも束の間だった。
「……そっか。ごめん、浜仲」
珍しく素直に謝る幸太郎に目を丸くさせたけど、一番目を丸くさせたのは歩未だった。
それから僅かに頬が染まったように見えた。
それはチクリと心に刺激を与えた。