タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

新太ごめん。
ちゃんと私は目の前にいるのに嘘ついて。
でも、そうしないと私ちゃんと天国に行けないんだ。

だから許して。


「なんで佐來さんが謝るの?謝るのは俺の方」

「え?」

「もう見えなくなっちゃったんだよね。佐來さんの陰に亜優奈の姿が」

「そ、そうなの?」


歩を進めながらそう言う彼はどこか悲しく見えた。けどそれともうひとつ安心しているようにも見える。


なんだ。そうなんだ。
これで私の疑いも晴れたってわけか。

よ、よかったぁ〜。

なーんだ。じゃあもう普通に振る舞えるってわけか!

あんなに怯えてた私ってバカみたい。

もっと早くに言ってよねっ。
そしたらあんな風に迷惑かけたりしないで済んだかもしれないじゃん。


そう呑気に喜んでいる私は新太の次の言葉で足が止まりかけた。

歩みを止めたら今度こそ何かが崩れていく気がしたから。


どういう事?

え……私は死んだんじゃないの?

え?

これは夢なの?

でもゼテルアさんが証明してくれた……よね?



『こないだ亜優奈の意識が戻りかけたんだ』



ねえ、新太。

戻りかけたってどういうこと?


少し先を行く彼に聞きたくても聞けないこのもどかしさに胸が苦しくなった。



< 227 / 277 >

この作品をシェア

pagetop