タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
日が沈み暗闇に包まれた境内は灯篭や街灯の光で幻想的に見える。
出店を抜けた私たちは灯篭が先を導くように配置されている幻想的な道を歩く。
神社なんて滅多に来ないし、増してこんな暗い時間帯になんて来たことないからテンションが上がる。
幸太郎も目がキラキラしていてなんだか嬉しかった。
そして行き着いたのは小さな池だった。
目の前にある立て札に気付いた幸太郎が言う。
「ここパワースポットらしいね。縁結びの神様が奉られてるって」
「そうなんだ。知らなかった」
「俺も」
へぇ、……縁結びか。
私がやっても意味なさそうだけど、やってみたくなって来ちゃうというのが乙女心だよね。
お財布から五円玉を取り出して投げた。
綺麗な弧を描き、ポチャンと水面に飲み込まれたのを確認すると手を合わせて願う。
私が願うのは大切な人の幸せただ一つ。
歩未、幸太郎、新太に家族。
でも、ほんの少しだけ私の願いも込めていいのなら
告白する勇気と幸太郎のそばにもう少しだけ居させて欲しいということ。