タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
目を開けようとした時またひとつ池に落ちる音が聞こえた。
隣を見れば幸太郎も手を合わせて願っている。
何を願っているのか分からないけど力が篭もりすぎていて妙に体が震えているように見えた。
それがおかしくて、つい笑ってしまう。
「え。なに笑ってるの佐來さん」
「いや、なんか面白くて。あははは」
「佐來さん酷いなぁ。俺真剣にやってただけなんだけどなぁ」
「うんうん知ってるよ。でも、っふふふ」
口を尖らせる彼は訳が分からないとでも言うようにこちらを見る。
「ごめんね。なんかすごい一生懸命だったから なんか可笑しくて、つい」
「そりゃあまあ強く願っちゃったからね。でもそんな笑う必要あった?俺そんなにおかしかった??」
「うん。だってめっちゃ体震えてた」
「まじか!俺的には体震えてなかったんだけどな。そんなにか」
「うん。そんなにだよ。力むほどの願い事叶うといいね」
どんな願い事なのか気になるけど、言わせたらその願いは叶わなくなっちゃいそうだよね。
だから敢えて聞かなかった。
なのに、彼は。
「だといいな。佐來さん叶うかな? 俺の大事な人が目覚めますようにって言ったんだけど」