タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

あまりにも直球で何も言えない出てこなかった。

幸太郎はそんな私に目もくれず喋り続ける。



「アイツのさ意識が戻りかけたんだよね。先生もいい傾向に向かってるって言ったし、もしかしたら奇跡が起きるかもしれなくてさ」


希望に満ちた声がそこら中に響く。

それは私の心にも響いた。



「こないだ佐來さん言ったじゃん?神様はいるって。……俺信じてなかったんだけどさ、その日アイツが、アイツの指が、動いたんだ。それって奇跡中の奇跡なんじゃないかって。だったら神様って存在してるんじゃないかって。そしたら願わずにはいられないじゃん?」


にかっと笑う幸太郎に目を細めた。

眩しかった。

逆光の位置にいるわけでもないのに。


そしてなぜか泣きそうになる。


新太といい、幸太郎といい、意味のわからないことを言う。

2人が言っている対象は誰なのか。

それが事実なのか嘘なのか分からないけど一つ確信が持てることは


『私』がまだこの世界に『いる』ということ。


私は死んでるはず。
ゼテルアさんだって言ってた。

なのに彼らは『生きている』と。



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