タイムリミットは君にサヨナラをするまで。

「倉村亜優奈」


ふと気がつくと自分の名前を発していた。

彼も驚いたように目を丸くさせ、それから空を見上げて頷いた。


田舎でも都会でもないこの場所に珍しく星が綺麗に散らばっている。


綺麗だなぁ、なんて一息つく暇もなく私の口からは確信に着く言葉を紡いでいく。



「その人が……松崎くんの大事な人?」


自分で聞いていて恥ずかしくないのか、と聞かれれば嘘になるかもだけど

今はそんな感情は湧かなくて


聞いて後悔した。


……泣いてしまいそうだ。



「そう。俺の好きな人」



ほら、そんな風に笑う。


駄目なんだけど、駄目だと分かっているんだけど、口が走ってしまいそう。


あぁ、今にも伝えてしまいたい。
私が倉村亜優奈だって。


だから、せめて、これだけは言わなきゃ。


キミに、キミのことが、ずっと大好きだったと──。



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