タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
この時間が退屈すぎて、暇つぶししようとリュックを探した。
「……ない」
あれっ、おかしいな。
さっきまで持ってなかったっけ?
少し自分の行動を思い返してみる。
ひたすら走っていた前──。
……ないね。
生きていることに喜んだとき──。
……なかった。
意識はあるのに目が開けられないとき──。
……ない。
あ、私最初から持ってなかったんだ!
なら納得。
……ナットク?
「じゃあ、なんで持ってる記憶が……?」
ハテナばかり浮かべて考えていると声が聞こえた。
……この声、どこかで。
すごくやさしい声。そして聞いてて心地いい。まるで子守唄みたい。
女性かな?
透き通った綺麗な声音だから。
なぜかその声は私を呼んでいて、さらにハテナを増やしていく。