タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「もう戻るか」
暖かいオレンジの光が私の顔を照らす。
眩しさに目を細め、立ち上がる彼を横目で捉える。
ズボンを咄嗟に掴んだのはもう少し一緒にいたいという気持ちから。
私が素直で可愛い女の子なら直球で言えたかもしれない。
でもそんな柄じゃないから出そうになる言葉は飲み込んだ。
ほんと私は可愛くない。
好きな人の前くらいなんで可愛く出来ないんだろう。
夢で見たあの女の子みたいに可愛くなりたい。
そう悶々と思い悩んでいると上から深いため息が降ってきた。
そうそうに呆れたのだと察知する。
だけど、私の思っていた反応とは斜め上を超えてきた。
上を向こうと彼を見ようとすればまた私の髪をくしゃくしゃとし始めた。
それが何を意味するのかやっと分かった。
照れ隠しだと。
「いいからもう戻るぞ。そんであんま可愛いことすんな」