タイムリミットは君にサヨナラをするまで。
「……あの、ココって一体……」
「やっと、口を聞いてくれたあああ!」
「っ!!?」
「あなた、倉村亜優奈さんね!?」
「っ、は、い……っ」
ちょ、やめて、こんな体揺らすの。
視界がグラグラする。
しかもいきなり抱き着いてくるなんてビックリするし、腕ハズレるくらい振り回すのも、ほんとやめてください……っ。
「ああ私ったら!ごめんなさいねっ」
そう言って綺麗な人が慌てて私から離れる。
クラクラしている頭をなんとか正常に戻し、心配そうにのぞき込む人をジッと見つめた。
さっきの声は確かにこの人のものだ。
こんなに近くから同じテンポで声で私を呼んでいるのだから。
間違うはずがない。
スッと耳に馴染むその声は、間違いなく女性のものだ。それに口調も。
それなのになぜこんなにも違和感を感じるのだろう……。
「亜優奈さん?」
「あの、……あなたは、女性ですか?」
私は初対面の人になんてことを聞いているんだろう。
言った後すぐに後悔の波が押し寄せる。
それでも聞かずにはいられなかった。
だって女性でこんな、こんなすごい肉体をもっている人なんて見たことない!